村木厚子さんを支えた、2冊の本とは。【NHK/あさイチ】

村木厚子さんを支えた2冊の本

1月18日(金)のNHKあさイチ。
プレミアムトークに、村木厚子さんがゲストとして出演していました。

無実の罪で、約5ヶ月も勾留されるという体験をした村木さん。

数々のエピソードはどれも胸を打つ内容でしたが、中でも印象的だったのは拘置所の中で読んだ本の話。

勾留中の村木さんを支えてくれたという、2冊の本を紹介します。


冤罪で逮捕された村木厚子さん

村木さんが話題になったのは2009年頃

村木厚子さんの名前を見ても、どんな人物かわからない人も多いかもしれません。
写真を見れば、何やらニュースになった人、と思い出す人もいるでしょう。


村木さんがニュースで話題になったのは、2009年頃のことです。

こんな事件でした

2009年6月。
厚生省に勤めていた村木さんは、偽の公文書を作って不正に郵送料を安くした罪で逮捕されます。

そして164日間、大阪拘置所で勾留され、検察から取り調べを受けました。

後の裁判で、村木さんの無罪が確定。

冤罪での勾留だったのです。

障害者郵便制度悪用事件 – wikipedia

その後、村木さんは厚生労働省に復職。
2013年には事務次官に就任し、官僚のトップキャリアまで登り詰めます。

現在は厚生労働省を退職し、様々な活動に尽力されているそうです。

あさイチで語ったこと

勾留中のエピソードに始まり、夫や娘との関係、現在携わる若い女性への支援活動、女性の労働についてなど、それぞれのテーマでじっくりお話をされていました。

個人的に印象が強かったのは、村木さんが勾留中に読んでいた本の話です。

村木さんを支えた2冊の本

勾留中、自由時間では読書しかやることがなく、たくさんの本を読んだそうです。
その数、149冊。

ほとんどは友人からの差し入れでもらった本で、村木さんが普段選ばないジャンルの本が多かったとのこと。

中でも印象に残った2冊をピックアップされていました。

「花さき山」

「一日一生」

です。

花さき山


ふもとの村で、誰かがやさしいことをすると、山に花がひとつ咲く……。

小学校の図書館で目にしたり、道徳の授業などで読んだ人も多いでしょう。
名作の絵本です。

村木さんは
「この本を読んで心が楽になった」
と語っています。

村の貧しい娘が、自分の着物を我慢して、妹にきれいな着物を着せてやってくれと母親に頼みます。
我慢をしたことで、花さき山にひとつ花が咲く……というエピソードに触れた村木さん。

「拘置所にいて、私は誰のためにも何もできないと思っていたのが、私がここで元気にいるとか、そういうことを伝えるだけでも、もしかしたら花が咲くんじゃないかな、と思えて。ものすごく気持ちが楽になったんですよね。最初は、友人から手紙をもらっても、返事なんか書けない。この絵本を読んだら、元気でいるって返事を書けば、花が咲くんじゃないかと思えたので。心をとかしてくれた絵本です」

一日一生


延暦寺の僧侶、酒井雄哉・大阿闍梨の言葉集。
千日回峰行という過酷な修行を二度も満行された酒井さんの、生きることについての言葉が収められた一冊です。

番組では、一部を抜粋して、近江アナが朗読していました。
「一日が一生、と思って生きる」
という内容の部分です。

それを受けて、村木さんはこう語っていました。

「(勾留は)終わりが見えていないので、永遠にこの苦しい状況が続くんだろうという感じで、それが本当に辛かったんです。取り調べも20日間だけど、やっと1日終わった、やっと2日目が終わった、というふうに思っていたんですけども……『一日を一生と思って生きる』、あくる日はまた別の人生、という言葉を読んだ時に、今日を一生懸命生きることだけを考えようって思ったら、永遠に続くと思っていたところから、今日だけがんばればいい、と頭が切り替わって……ものすごく楽になりました」
「この本の中で、身の丈にあったことを、毎日くるくると、それだけをやっていく……身の丈にあったことという表現もあって。どうやったって、別の自分になれるわけじゃないですよね。逮捕されたからとか、勾留されたからって。だから、身の丈にあったことでいい。今日一日だけがんばればいい。そう思ったら、ぐっと楽になりますよね。……相当救われました」

事件を振り返って

改めて事件を振り返っていかがですか、と問われると、
「二度と体験したくないけど、得難い経験」
と答えた村木さん。

164日間、拘置所で過ごすことがどれだけのことか。
簡単には推し量ることはできません。

過酷な環境にいた村木さんが、本によって支えられていたのは、とても興味深い話です。

書籍が売れない時代と言われていますが、本にはまだまだ力がある。
そう思わせてくれるエピソードでした。

最近、書店から遠ざかっている方は、行ってみてはいかがでしょう。

今の自分を変えてくれる出会いがあるかもしれませんよ!

関連書籍

花さき山

一日一生

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