ビートたけしが語る、M-1グランプリ2018。「和牛と霜降り明星はケーキ屋」

2018-12-29

12月27日(木)に放送された、
「チマタの噺SP〜たけし噺2018〜」。

年末スペシャルゲストは、ビートたけし!
MCの笑福亭鶴瓶と、絶妙なトークを披露しました。

2018年を振り返るというテーマで、様々な出来事に触れていく中で、たけしは毒舌を連発。
鶴瓶が何度も「やめんか!」「テレビやぞ!」と厳しい表情で突っ込む場面も……。

そんな中、お笑い界の話題では毒舌を見せず、真面目に語っていたのでした。

たけしと鶴瓶が、若手や中堅の漫才師について語ったあれこれを、抜粋して書き起こしました。

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たけしが好きな漫才師

——M-1グランプリの結果を受けて……
たけし「霜降り明星と和牛って肉屋みてえなのばっかりじゃん」
鶴瓶「でもこれ霜降りは若いんですよまだ。和牛もそうでしょうけど」
たけし「俺は『流れ星』ってのが結構好き。『テンダラー』ってのも好きなんだけど」
鶴瓶「僕なんかも個人的に好きなのはぎょうさんおるんですけど、『霜降り明星』も『和牛』も良いですよね」
たけし「これ上手いよね。和牛も、二人とも上手いなあ、って思って」

和牛については「二人とも上手い」と感心の声……!
流れ星は、「THE MANZAI 2018」でも、たけし賞(優勝)を受賞していましたね。しかも、2年連続での受賞です。

みんな上手すぎるから飽きられる

鶴瓶「でも、おもろいレベルが上がりましたよね」
たけし「レベルが皆ものすごい良いんだけど、いいのが全部揃っちゃったから。飽きるよねぇ」
鶴瓶「……まったく、そやね」
たけし「飛び抜けない、なんかもっと下手で飛び抜けるのいないのかね? 上手いもん、皆。だから俺ね、ブームが来ないんだと思うんだよね。この(高い)レベルに来ちゃってるから」

上手い人が多いほど人気が上がりそうな気もしますが、上手すぎても盛り上がらないとのこと。
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味が無い賞レース漫才

たけし「おいらのときはね、今考えれば上手くないんだけど、ネタが新鮮だったから」
鶴瓶「ちゃうことをしようと。皆ね」
たけし「こっち(霜降り明星や和牛)はもう、新しいネタで、漫才としては完成品なんだよね。だから飽きちゃってんのかな、っていう。この(高い)レベルで。やっぱり(M-1は)漫才で2分とか3分だから、前の『ようこそいらっしゃいましたー』みたいなの全部外して、『まいど〜! ナントカでーす! あの、喫茶店やりたいんだけど』『いらっしゃいませ」って、もうネタ入るからね」
鶴瓶「そうそう」
たけし「だから、味が無いんだよね。ネタだけのアレになっちゃってるから」
鶴瓶「その人らの、雰囲気言うんかね」
たけし「あれはね、ネタにすぐ入っちゃうからね」

M-1グランプリは、持ち時間が4分というルールがあります。マイクの前に立ったらすぐネタに入り、できるだけ多くボケる漫才が定石とされています。

どら焼き屋と、ケーキ屋

たけし「だから『中川家』みたいに雰囲気ができちゃえば……あいつら安定してんだよね」
鶴瓶「『中川家』、『サンドウィッチマン』、『華大(博多華丸・大吉)』、これもう安定してますよね」
たけし「安定してる」
鶴瓶「仙台にあんなおもろいやつがおって、大阪で、それから博多で、って安定してますよ。それから『ナイツ』もそうですよね」
たけし「うんうん。逆に言えばこっち(中川家など)は、進化してるけど、老舗のどら焼き屋とか餅屋とか、ああいう感じがあって。こっち(霜降り明星や和牛)はあれだね、当たってるケーキ屋さんの感じが」
鶴瓶「そうそう、新しいケーキが出てくる」

安定感のある中堅と、チャレンジするルーキーの例えが独特ですね。

関東の漫才師が関西でウケる時代

たけし「でもやっぱり『サンドウィッチマン』とか『ナイツ』なんかが、関東弁でもウケるっていうのを見せてくれたからいいよね」
鶴瓶「いやもう、大阪へ来ても絶対ウケますしね」
たけし「やっぱり、テレビでじゃんじゃん見られるようになったっていうのはあるよね」
鶴瓶「昔、大阪弁が全然受け入れられなかったときに、こっち(関東)へ皆が出てきて大阪弁でしゃべったって、受け入れられるようになったんで、大阪弁でもいけるようになったんですけどね。昔、つらかったでしょ? 向こう(関西)行ったとき」
たけし「つらいつらい。全然ウケなかった。ハナから聞いてくんないもん。客が(だるそうに)『あ〜』って。いやあ参ったな、と思うよね」

たけしが漫才師として活躍した時代は、関東の芸人が関西で営業するのは大変だったようです。

下手だけどおもろいやつ

鶴瓶「浅草なんか、そう言うたら非常に失礼やけども、レベルが違う(低い)けど変におもろいのいてますよね」
たけし「うん、いる。いいなーこれ、と思うんだけど」
鶴瓶「まあこんなところ(M-1)では戦えないですよ。ただでも劇場に出てて好きなのあるじゃないですか」
たけし「そうそう劇場のね」
鶴瓶「今、女の子の『THE W』っていう(コンテスト)あるんですけど、下手なんですけどおもろいのいますよ」
たけし「あれはね……一発屋になる可能性があんだよね。下手で上手いのって。ネタに飽きちゃったときに、始め笑うんだけど、続かないんだよね」
鶴瓶「だからね、上手いのばっかりおるから、もたもたしたら余計おもろいんですよ。『おまえ何もたもたしてんねん』というのがあって。だからそれはおもろいなと思ったんですけどね」

鶴瓶が「THE W」について、下手なんだけどおもろいのがいた、とコメント。「THE W」はまだまだ評価が少ないので、貴重ですね。
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審査員をやらない理由

鶴瓶「審査員はやってないんですか?」
たけし「やんない」
鶴瓶「ああ……」
たけし「だって(若手は)おいらより上手いんだもん。俺より上手いやつ、審査できないから」

わかりやすい理由ですね……!
たけしのお笑い評はもっと聞いてみたいですが、審査員という肩書は似合わないような気もします。

若手に毒を吐かない

たけしは、スポーツの話題や今年の事件については、きつい毒舌でこき下ろしていました。ネットで書き起こしするのをためらうほどの内容です。
しかし、自分より若いお笑い界の話題では、一切毒を吐きませんでした。
同じ漫才という土俵で戦う後輩たちへの、やさしさの表れなのかもしれません。

おまけ・歌丸師匠について

たけし「歌丸師匠は落語が下手だったね」
鶴瓶「やめなはれ」
たけし「いいんだよ」
鶴瓶「いいんじゃないよ」
たけし「この人は人がいいから」
鶴瓶「すっごい皆に愛されてまっせ」

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