【やらかし】KOC2018、チョコレートプラネットの2本目「棟梁」は、なぜスベったのか?

2024-03-14

1本目のネタ「密室」で、
「478点」の高得点を叩き出し、
1stステージを1位通過した、
チョコレートプラネット!

彼らが2本目のネタを披露する直前には、
「これは順当に、チョコプラ優勝かな」

……そんな空気が生まれた、
「キングオブコント2018」。

しかし、チョコプラは2本目でまさかの大失速、結果は3位……。

敗因は何だったのでしょう?

2本目のネタ「棟梁」

まずはネタの内容を振り返ってみましょう。

意識高い系の大工、という設定

「意識高い系」の棟梁が、弟子にあれこれ意識高く指導するという内容のコントです。
ざっくりと紹介します。

大工が板付きで登場。

弟子「うちの棟梁、意識高い系だからなぁ。仕事始まる5時間前に来てねえと怒られるんだよなぁ」

ロードバイクで、颯爽と現れる棟梁。

弟子「棟梁、おはようございます」
棟梁「Good morning」

棟梁の容姿は、いかにも頑固そうなベテラン大工。
でも早口で、外資系のできるビジネスマンのような話しぶり。

棟梁「それじゃあ前日のフィードバックから始めていこうか」
弟子「今のところ何の問題も無く順調に進んでます」
棟梁「それじゃあユーザーにプレゼンしたメソッド通りってわけだな、よしわかった。俺は図面をこっちで描いてるから、お前は向こうでワークショップやってろ」

小難しいビジネス用語をやたら使ってくる棟梁。

棟梁、作業台の上にMacBookを取り出し、ディスプレイを開く。

弟子「図面、Macで描いてるんすか」
棟梁「当たり前だ、今どきMacも使えないんじゃ図面のひとつも引けねえよ、いいかよく見てろ」

棟梁、MacBookのディスプレイを閉じ、モノサシ代わりにして鉛筆で線を引く。

弟子「すげえ……」
棟梁「こんな綺麗な直線引けんのMacくらいだ」

棟梁、iPadを取り出し、同様にモノサシにして線を引く。

弟子が図面を手に取ると、見事な戸建て住宅の図面が出来上がっている。

弟子「意識たけぇ〜!」
棟梁「Macあったら何でも書けんだからよ」

ここまでは、良い空気を保っていたと思います。

棟梁の意識高い大工仕事が披露されていく。

iPhoneアプリでカンナがけしたり、
Macの充電器がメジャーになっていたり、
Macのキーボードが変形してノコギリになったり。

ノコギリについては、
棟梁「ちなみにF7を押しながら切るとジグザグに切れるからよ」
弟子「意識たけぇ〜!」

その後もBluetoothで木材を接続したり、
スムージーでスムーズに釘を打ったり、
セメントにチアシードを混ぜていたりと、
意識高いアイテムを連発していく。

オチは、棟梁がintelロゴの刺青を見せつける。
弟子「intel入ってる〜!」

ところどころでウケたものの、大きな笑いは起きることなく、ふんわりとした空気のまま終了となりました。

結果発表!

459点あれば優勝のチョコプラ。
1stステージでは「478点」をたたき出しているだけに、順当に行けば優勝かな?という雰囲気はありましたが……。

コントを終えて

司会の浜田に
「さ、どうでしたか」
と感想を求められると、

「う〜〜〜〜〜ん!」

と二人揃って渋い顔。

自分たちのコントがいまいちウケなかったことは、本人たちも理解しているリアクションです。浜田はその様子に大笑い。長田が「おまかせします!」と言うと、審査員たちも苦笑い。

採点の結果

チョコプラの点数はまったく伸びず。
1stステージなら8位相当の「440点」。

点数発表のとき、会場からはまったく歓声が上がりませんでした。観客の誰もが、点数の低さに驚かなかった、ということでしょうか。
審査員の設楽と松本はこんなコメントを残しています。

▼設楽
チョコプラ跳ねろ、跳ねろと思いながら見ていました。
もっと行けば。
(優勝に)指が掛かっていた状態だと思うんですけど。

▼松本
ちょっとチョコプラは小道具に頼りすぎたというかね。
(最下位の)「やさしいズ」より2点しか勝っていないんですよ(笑)
(松本の採点=やさしいズ82点、チョコレートプラネット84点)。
出典:http://news.livedoor.com/article/detail/15344823/

大会終了して間もなく、チョコプラ松尾のツイート。
https://x.com/chocopla_matsuo/statuses/1043494317384380416

チョコプラは勝ちを狙ったのか?

ネットでは……

SNSなどで感想を見てみると、1本目から2本目の落差がすごかったせいか、

「どうしてこのネタを選んだの?」

「これじゃダメだって誰か指摘しなかったの?」

という疑問を持つ人も多かったようです。

チョコプラや、その周りの人達は「棟梁」のネタをどう思っていたのでしょう?
その答えは、キングオブコント放送直後にGYAOで配信された「キングオブコント2018 大反省会」にありました。

小峠に語った、チョコプラの反省

今回のキングオブコントでは、バイきんぐの二人と、みちょぱこと池田美優が出場芸人のリポートを務めていたのです。
小峠がちょいちょいハナコをイジってましたね!

今大会のチョコプラの様子を見てきたバイきんぐが、大反省会の中でチョコプラに大会の感想を聞きました。

小峠「どうでしたか?」
長田「どうでしたでしょうねえ、もう……」
小峠「正直、周りの感じでいくと、『(優勝)いくんじゃねえか』みたいな空気はありましたよ」
長田「僕らも、これよっぽどのことがない限り行くんじゃないかと思ったら、よっぽどのことありましたね!」

一同(笑)

小峠「自信はあった?」
長田「ありましたねぇ」
松尾「でも、うかれちゃいけないっていうのはあったんで。あそこ(1st勝者席)で座ってたときに、小峠さんがボソっと『2本目の感じも、これだったらいけんじゃね?』って言ってくれましたよね?」
小峠「僕は2本目、準決勝で見たんでね」
松尾「めちゃくちゃ真に受けて……」
長田「(笑)」

2ndステージに進んだ時点ではチョコプラも手ごたえと自信があり、見ていた小峠も優勝の空気を感じていたようです。

小峠「いやいや僕はおもしろかったですよ!」
長田「いや……どうです!?あれ(2本目)……」
小峠「いやおもしろかったですよ」
長田「悪くないですよねえ?」
小峠「うん、僕は準決勝の舞台では、めちゃくちゃ笑いましたよ」
松尾「ですけど、やってる途中で二人とも『……あっれぇ?』ってなりました(笑)」
長田「うぶ毛がソワソワソワーって。あ、ちゃうちゃうちゃうちゃーーーう!ちゃうでー!ちゃうでー!っていう感じがね〜」
松尾「ネタ終わったあと二人で『う〜〜〜〜〜ん』って」

一同(笑)

長田「ちょっとなんか魂がずれた感じになってました(笑)。あれ、これハマらんなぁ……って」
小峠「なるほどねぇ〜」
松尾「何とも言えない……」
長田「難しいっすね〜(苦笑)」
小峠「難しいよねぇ」
長田「難しい! これは」

小峠はすでに準決勝で2本目の棟梁を見ていて「おもしろかった」と評価しています。長田も、つまらないネタを出したつもりはない、と。
ただ二人とも口を揃えて「難しい」と首をひねります。

小峠「みちょぱはね、若い子はわかるけど、おじさんたちにはちょっとわかんないんじゃないか、みたいなこと言ってました」
松尾「ああ〜」
小峠「パソコンとかの単語とか出てたから。俺は(単語が)わかんなくてもおもしろかったんだけどね」
長田「そうなんですね……逆だと思ってました」
小峠「ほう?」
長田「おじさんにウケるのかなーって思ってました」
小峠「ああ〜その感じがね」
松尾「一般企業で働いているおじさんたちには、って」
長田「ルミネでやってると、サラリーマンが多いときとか、めちゃウケるんで」
小峠「ああ〜」

「棟梁」ネタについて、意見が分かれます。

チョコプラは、ルミネの舞台で披露した経験で、
「用語がわかるおじさん層にウケるネタ」
だと思って出した。

小峠は、若い世代向けだけど、
「用語がわからないおじさん層でもおもしろいネタ」
と評価しました。

みちょぱは、
「若い子はわかるけど、おじさん層にはわからないネタ」
と評価。

ここでの「おじさん」がどのあたりを指すのかもブレがありそうですが、それはとりあえず置いておきまして。

チョコプラ本人たちと、バイきんぐ小峠と、みちょぱで、ネタに対する意見がまったく違うのが興味深いところです。

小峠「なんかもう、惜しかった」
長田「いやもうなんか、わかんない! これもうマジで、悔しい!」
小峠「だって決勝の決勝(2ndステージ)行ったのは2回めでしょ?」
松尾「2014年ですね」
長田「あれもちょっと(2本目が)変則的だったんですよ」
小峠「悔しいよねぇ」
長田「前も、ほんとすぐここまで、来てたんですけど……」

ここで、小峠が「たらればBOX」というアイテムを出しました。箱の中に向かって、愚痴をぶちまけよう、というミニコーナー。
長田が、BOXに顔をつっこみます。

長田「(箱の中へ)ロッチさん! 飲みに連れていってください!」

一同(笑)

小峠「なんでロッチさんを」
長田「今の僕らの気持ちをわかってくれるの、たぶんロッチさんしかいないんで」
小峠「1本目跳ねて、ね」

2015年のキングオブコントに出場したロッチ。
1本目の「試着室」ネタで1位通過したものの、2本目の「ボクシング」ネタで大事故のごとくスベって優勝を逃しました。
そのことを今でもイジられるという、ある意味おいしい十字架を背負い続けています。

松尾「たぶん、点数も同じなんですよ、1本目。夕方の事前番組見てて、確かロッチさんの点数478点で」
小峠「へえ〜」
松尾「わ、すげえ!って思って。それを超えたいなって思って覚えてたんですよ。そしたら1本目終わって同じだったんで」
小峠「ロッチの呪いだ、じゃあ(笑)」
長田「そうですねえ〜(苦笑)」
小峠「ほんとわかんないもんだね、難しいねえ」
長田「でもしょうがないっすね。これが今の俺ら、といった感じですけども……」

このあと松尾のIKKOのモノマネで締めるのですが、グダグダしていたので省略します。

勝つために出したネタ

インタビューを聞く限り、チョコプラは優勝するために「棟梁」を選んだのは間違い無さそうです。

困惑のチョコプラ

舞台ではウケていた。
準決勝までもウケていた。
先輩芸人も笑ってくれていた。
自分たちの演じ方も悪くはなかった。

ただ、キングオブコントの2ndだけ、ウケなかった

わからない、なぜなんだろう?

何が悪かったのだろう?

一番、困惑しているのはチョコプラ本人たちなのだと思います。チョコプラの立場で考えてみると、2本目を「棟梁」から変更する選択は思いつくはずがありません。

どれだけ考えても、勝ち方、正解がわからない。

チョコプラ長田が絞り出していた、この言葉に尽きるのかもしれません。

「難しい……!」

賞レースの難しさ

勝ち方がわからない

大反省会では、4位に終わった「さらば青春の光」の森田も、
「これで優勝できないなら、もう勝ち方がわからないから、キングオブコント卒業します」
と言っていました。

チャレンジする芸人には、賞レースを研究し、自分たちの芸を磨いて、
「これが勝ち方なんじゃないか」
というものを見つけて挑む人たちもいます。

しかし、思い通りにいくことはほとんどありません。

「さらば青春の光」は今年、6回目の決勝に挑み、負けました。

チョコプラは今年が3回めの決勝でした。

優勝したハナコは芸歴4年め。
今大会が初めての決勝でした。

これが賞レース

何が起こるかわからない、順当にはいかない賞レースだから、観客は楽しめます。

その舞台裏には、勝ちたくて勝ちたくても負けていく、たくさんの芸人の悔しさ。

そして、戸惑いがあふれているのです。

そんなところをちょっと気にすると、こういったお笑いコンテストの見え方が変わるかもしれません。

では最後に、この記事も、この方のあたたかいツイートで締めましょう。

https://x.com/lottiso1/statuses/1043543693297254402

うーん、やっぱり、
中岡さんアップすぎませんか。