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「あせとせっけん」から学ぶ、愛されキャラの作り方【八重島麻子 編】

2018年7月に、Dモーニング限定で連載開始した「あせとせっけん」

デジタルでの連載のみですが、じわじわと口コミで人気を集めているマンガです。

コミックス1巻は、なんと10万部突破。
最新の2巻も即重版となり、かなり売れているようです。

キャッチコピーは、
「多汗女子と嗅覚男子の、超純愛フェチラブコメ」

強めのワードが多くて少し戸惑いますが、マンガはとても読みやすい良作

ラブコメの中に、ちょうどいいくらいのエロ描写があるのも魅力のひとつです。

今回は「あせとせっけん」の第1話から、
主人公「八重島麻子」の作り方を学びます。

モーニングの公式サイトで、第1話がまるまる試し読みできます。
さきに第1話を読んでからこの記事を読みたい方は、こちらからどうぞ。
「あせとせっけん」の第1話を試し読みする!

「あせとせっけん」は王道の◯◯マンガ

まず「あせとせっけん」のあらすじを見ておきましょう。

女性に絶大な人気を誇る化粧品&バス用品メーカー・リリアドロップに勤めるOL・八重島麻子(やえしまあさこ)は、重度の汗っかきなのがコンプレックス。
デオドラント製品が手放せない生活の中、ある日、商品開発部の名取香太郎(なとりこうたろう)に、「君の体臭は素晴らしい! 新商品の石鹸開発のため、これから毎日、君のにおいを嗅ぎに来ます!」と言われてしまう。
でも、においを嗅がれるのはそんなに嫌でもなくて……?
出典:http://morning.moae.jp/lineup/1037

序盤はキャラが少なく、第1話は麻子と香太郎だけで進展します。

元々、第1話は読切として作られたエピソードなので、ストーリーもコンパクトにまとまっています。

「あせとせっけん」は王道の少女マンガ

キャッチコピーはいろいろな要素が並んでいましたが、「あせとせっけん」は少女マンガの王道パターンが下敷きになっています。

王道の少女マンガとは……?

はっきりとした定義があるわけではありませんが、およそこんなところです。

「コンプレックスを持った女性主人公が、ハイスペックな男性に一方的に愛され、肯定される」

「あせとせっけん」でも、まず少女マンガらしい主人公として、麻子が色付けされています。

麻子のキャラ設定

第1話で提示される、麻子の性格や特徴を見ていきましょう。

コンプレックスがある

P.3〜4
麻子のモノローグによって、直接語られます。

人より汗っかきな私は 小さい頃から「汗子」と呼ばれてからかわれ……
以来ずっと制汗・消臭ケア用品が手放せない人間です

麻子は、汗っかきコンプレックスです。

これでまず、王道の少女マンガ主人公の要素をひとつ満たします。
さらに、少女マンガの主人公らしい特徴がまだまだあります。

自己肯定感が低い

P.3
リリアドロップの他の女性社員が対比として描かれ、自分を低く評価しているモノローグが続きます。

(前略)華やかで素敵な社員さんたち…

麻子が、自分のことを「華やかで素敵な女性ではない」と思っているわけです。

大好きなものがある

これも少女マンガ主人公の定番要素です。
「とても好きなものがあり、それに触れているときはしあわせ」なのです。

P.3〜4
さっそく、麻子の好きなものが登場し、それに対して麻子がどう反応するか描かれます。
新商品のせっけんの展示を見つけた麻子は、モノローグでうっとりと語ります。

リリアドロップのせっけんは大好き
使うと
こんな私でもゆりかごの中のように
安心する香りに包まれる…

また、このあとのモノローグで、麻子の価値観が提示されます。

大好きなせっけんの会社にいられるだけで
私は十分しあわせ…

ささやかなしあわせだけあればいい、高望みはしない。

評価が低い現状に妥協しているところも、少女マンガらしい冒頭です。

好きなものを好きなのは主人公だけ

少女マンガ主人公の定番として、主人公の好きなものについては、
「それを好きなのは主人公だけ」
「同じくらい好きな人がまわりにいない、理解者がいない」

というパターンもよくあります。

これは、主人公の孤独さの表現にもつながります。

そもそも人気商品のせっけんなので、同じせっけん好きな人は他にもたくさんいるはずです。
しかし第1話では、麻子の同僚や友人とせっけんのにおいについて語り合うシーンもありません。

はっきりと孤独である描写はないけれど、孤独なのかな、と思わせるようになっています。

地味だけどセクシーな容姿

コンプレックスがあって、自己評価が低い麻子ですが、実際はとてもかわいらしい容姿をしています。

普段は、ロングの黒髪をシンプルにひとつにまとめて、メガネをかけているので、なかなか地味です。

しかし、スタイルは良く、胸も大きい。

麻子のエロいシーンが本作の売りでもあるので、セクシーなのは必然なのでしょう……。

麻子のキャラの立て方

ここまでは設定の部分で、物語を通して紹介されていくのですが、それだけでは魅力的な主人公にはなりません。
いきいきとしたキャラを立てるために、主人公を感情のジェットコースターに乗せているのです。

主人公のすべての感情を見せる

第1話の物語を通して、麻子は様々な感情に変化し、リアクションを見せてくれます。

P.3……制汗ケアで恥じらう

P.4……新商品のせっけんと出会って喜ぶ

P.5……しあわせを感じて笑顔

P.6……「じっくり嗅ぎたい」香太郎にドン引き

P.8……壁ドンされてにおいをかがれて混乱、恐怖で命乞い

P.9……においを当てる光太郎に背筋が寒くなる

P.13……においをかがれて恥じらう

P.15……香太郎に感謝を伝えて、素敵な笑顔

P.16……せっけんの話題になってテンション上がる

冒頭から中盤に至るまで、麻子の感情は動きっぱなしです。
香太郎と出会ってからはとくに感情が大きく動きます。

感情が動くイベントを麻子に与えて、彼女の感情をどんどん揺さぶっているのです。

主人公の喜怒哀楽をできるだけ多く見せるように工夫されたストーリーです。
ちなみに、麻子さんは怒らないキャラなので、怒るシーンは第1話にありません。

徹底して、いい人

麻子には、悪意がありません。

現実的な範囲で、ちょうどいいバランスにいい人なので、読んでいて好感が持てます。

自己肯定感が低いところも湿っぽく描かれておらず、見ていてイライラしません。

ちなみにこれは香太郎も同じことが言えます。
男女ともに悪意が無いキャラなので、「超純愛」や「ピュア」という形容詞がつくわけです。

麻子の最大の魅力

ここまでは設定や性格などに触れてきましたが、本作における、麻子の最大の魅力はこちらです。

かわいく描けている

麻子の笑顔はとても素敵に描かれています。

嫌味がなく、純粋にかわいらしい表情が、絶妙なのです。

恥じらいの表情が抜群

とくに、気合を入れて描いていると思われるのが「恥じらい」です。
作中、なんども顔を赤らめて恥ずかしがる麻子。
どこかエロティックな「恥じらい」の表情が、とても魅力的に描かれています。

作者である山田金鉄先生の画力が、より一層、麻子を魅力的にしているのです。

まとめ

では、ここまでの内容をまとめましょう。

少女マンガの王道的主人公

コンプレックスがあって、自己評価が低く、孤独な女性です。
これによって、多くの読者から共感を得やすくなります。

容姿はかわいく、セクシー

地味めだけど、かわいい。
でもアダルトな描写があるため、セクシーなスタイルです。

様々な感情を見せてくれる

喜んで、困って、怖がって、また喜んで。
感情が大きく振れることで、いきいきとしたキャラになります。
恥じらう姿はムズムズさせられます……。

山田金鉄先生の画力

とにかく、かわいいです。
また、麻子のブラやパンストの描き込みには、並々ならぬこだわりを感じます……。

少女マンガ×フェチ×エロの良作

麻子のキャラも魅力的ですが、同じくらいに香太郎のキャラも魅力的です。

二人のやりとりにはそれほど焦らされることなく、ちょうどいいムズキュンと、すっきり感を味あわせてくれます。
そして思っていたよりなんだかエロい、というのも特徴です。

ちょっとオトナな少女マンガ、今後もますます人気が高まりそうな予感。

試し読みも豊富なので、ぜひ麻子のキャラに注目して読んでみてください。

試し読み&購入

2019年1月現在、こちらのサイトで第1〜3話が読めます。
Dモーニングのサイトで「あせとせっけん」を試し読みする

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