「ゴールデンカムイ」から学ぶ、キャラの作り方【杉元 編】【シナリオ分析】

アニメ2期も好評!
ヤングジャンプ連載の人気マンガ、
「ゴールデンカムイ」。

先日は、イギリスの大英博物館で行われる漫画展のキービジュアルに、ゴールデンカムイのメインキャラであるアシリパさんが使われるなどして話題になりました。


海外での知名度も高まる本作品から、主人公「杉元佐一」のキャラの作り方を学びます。

特徴とポリシーを見せる

まずは時と場所から

物語は、時代と場所を示す四角囲みのフキダシで始まります。

明治三七年
二〇三高地

シンプルな冒頭です。

顔の傷跡という特徴

指先に乗った、小さなアリを見つめる兵士。

扉絵もあるので、なんとなく彼が主人公なのかな、と読者は予想します。
顔の傷跡は容姿の特徴で、作者が与えた個性のひとつです。
彼はおもむろにアリを食べて「すっぱい」とつぶやくと。隣の兵士が「ハラ減ったなぁ」とボヤきます。
アリを食べた兵士が言います。

これが彼のポリシーであり、今後の物語を通じて何度も示される信念です。
ゴールデンカムイの主人公は「どんなことをしても生き抜く」キャラなのです。

注目ポイント

・「顔の傷跡」という容姿の特徴
・キャラのポリシーを見せる

突然の戦闘シーン

ページを送ると、読者は面食らいます。見開きを使っての迫力ある戦闘シーン。大勢の日本兵が突撃し、次々と撃たれ、倒れていきます。

小さなアリを食べて「すっぱい」とつぶやく静かなシーンを先に見せることで、緩急が作られ、戦闘シーンのインパクトが強まっているのです。

鬼の形相で戦う兵士

さきほどの兵士は首に銃弾を喰らいますが、怯むことなく敵兵の塹壕に突っ込みます。

常軌を逸した目つきで、「殺してみろぉ」と叫びながら次々と兵士を倒していく姿は、普通の人間ではないようにも思えるほどです。そしてシンプルに、彼は強いということもわかります。

注目ポイント

・鬼気迫る戦いぶり
・とにかく強い!

上手い名前の見せ方

川のほとりにて

さきほどの戦闘シーンからしばらく時間が経過したらしく、場面は穏やかな川のほとりに変わります。
顔に傷のある兵士が川で砂金を集めており、酒瓶を持った男が声をかけます。
「杉元佐一さん」
ここで主人公の名前がやっとわかります。とても自然に名前を見せていますが、これはちょっとしたテクニックを使っています。

スマートな主人公の名前の伝え方

キャラの名前の出し方はいろいろパターンがあります。

まず、四角フキダシなどで囲ってテロップとして見せる手法。代表的なのはワンピースですね。

次に、キャラに名乗らせる手法。誰かに「あなたは誰?」と問われ、「俺は◯◯!」と言わせる。主人公の場合は、主役感が強まりますが、うまくやらないと不自然な感じが出ます。

そして、ゴールデンカムイのように、誰かに名前を呼ばせる手法。物語の流れの中で名前が出てくるので、比較的スマートに名前を紹介する手法なのです。
他にも名前の出し方はありますが、また別の機会に。

杉元の目的とは何か?

キャラには行動原理が必要

行動原理というと固いですね。要は「◯◯したい!」という目的や欲求のことです。
魅力あるキャラ、とくに主人公には必ず「◯◯したい!」という目的が必要です。
さきほどのワンピースなら「海賊王に俺はなる!」という目的があるわけで、とても明確。
酒瓶の男とのやりとりで、杉元の行動原理が示されます。

「とにかくカネが欲しい」これが杉元の行動原理であり、これから起こるイベントに対して杉元がどう反応していくかは、この行動原理に従っていくわけです。

注目ポイント

・キャラの行動原理、「◯◯したい!」を見せる

ここからしばらく説明シーン

第1話だとどうしてもいろいろと説明しなければいけないのですが、酒瓶の男との会話で、たくさんのことを説明していきます。

杉元はかなりの大金を求めていること。
日露戦争の生き残りであること。
「不死身の杉元」と呼ばれていたこと。

そして、物語の柱となる、20貫(75kg)の金塊にまつわる話……。

本記事はキャラについての解説なのでこのあたりは省略します。

二つ名は便利

本編中、「不死身の杉元」という二つ名は何度も使われます。杉元の決め台詞になるフレーズです。
またまたワンピースで例に出すと「麦わらのルフィ」など、キャラの特徴がわかりやすくなるので、冒険アクション作品にはハマる設定です。

注目ポイント

・二つ名を持たせる

ギャップを見せる

杉元の回想シーン

なぜ杉元がカネを欲しがるのか、回想シーンで語られます。
親友のため、そしてその妻のために、杉元は大金が必要なのです。
ここでやっと、杉元の義理人情に厚い面が示されます。鬼神のように敵兵を倒していた彼にも、あたたかい側面があったのです。対照的な面を見せることで、キャラの魅力が膨らみます。

さらに、誰かを救うために行動する主人公は読者の共感を生みます。いいやつじゃないか、と思わされるのです。

この回想シーンはそのまま杉元の見ている悪夢へと移り変わり、なかなかのグロシーンを見せつけられます。このグロさもゴールデンカムイの特徴ですね。

注目ポイント

・情に厚いところも見せて、キャラに共感させる

「どうする杉元?」を作る

物語は走り出して、さらにメインキャラ登場

杉元が悪夢から目覚めたところから、物語は一気に進みます。いくつかのイベントのあと、メインキャラであるアシリパさんが登場。アシリパさんの表記は、正しくはリが「小さいリ」です。

アシリパさんからの選択

ここで杉元は選択を迫られます。
金塊のためにヒグマを倒すか、金塊をあきらめてヒグマから逃げるか。

アシリパさんは言います。
「熊の夜討ちは危険すぎる。覚悟が無いなら早く立ち去ったほうがいい」
「弱い奴は食われる」

杉元は、ヒグマを倒す決意をします。そして、自分の力だけではヒグマを倒すのが難しいと判断し、アシリパさんに「ちからを貸してくれ」と頼み込みます。ここで再び杉元の行動原理が示されます。

「選択と決断」は定番シーン

杉元はあまり葛藤していませんが、岐路に立たされ「どうする?」と問われるシーンは、物語の冒頭において定番のシーンです。

これから危険な冒険に旅立つかどうかの決意をするシーンであり、決意によって冒険が始まります。

この決意表明があることで、「自ら冒険に挑む主人公像」が明確になります。逆に決意がないままだと、なんとなく状況に流されたキャラになってしまい、読者も魅力を感じづらくなってしまうのです。

そして冒険が始まる

とある事情により、アシリパさんはこの申し出を受け入れ、二人でヒグマ討伐に挑みます。こうして、杉元とアシリパさんの、長い長い物語が幕を開けるのです!

注目ポイント

・主人公を追い詰め、決意させる

杉元のキャラの作り方

第1話でどうやって杉元が作られていたか。
まとめましょう。

容姿に特徴がある(顔の傷跡)

ポリシーを持っている(生き抜いてやる)

鬼のように強い!(戦闘シーンでの戦いぶり)

行動原理がある(カネがほしい)

二つ名を持たせる(「不死身の杉元」)

情に厚い(カネは友の妻のため)

冒険への決意(ヒグマを討つしかない!)

第1話は60ページとボリュームがある中で、杉元の魅力となる要素をしっかりと見せています。

とくに「ポリシー」「行動原理」は、魅力的なキャラには必須要素。創作に携わる人はぜひ参考にしてみてください。

この先の物語でも杉元の新たな側面が表れ、どんどん魅力が増していきます。ぜひ実際にマンガを読んで確認してみてください!

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画像出典

「ゴールデンカムイ」第1巻©野田サトル/集英社