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YURUMI主催「オープンダイアローグ体験会」を見学してきました。

6月8日(土)に都内で開催された、
YURUMIによる
「オープンダイアローグ体験会」
を見学させていただきました。

その様子をレポートします。

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オープンダイアローグとは?

オープンダイアローグ。
この言葉に馴染みのない方も多いと思います。

簡単に言うと、
「精神科で使われる療法のひとつ」です。

発祥は、フィンランドの精神病院。
1980年代に始まったオープンダイアローグは、徐々に他国へも浸透していきました。

そして現在、日本で、有志が体験会を行うまでに広まったわけです。

今回のイベントは、NPO「Social Capital Reconstruction」が企画・開催したものです。
以前の記事でもご紹介した、“不登校・ひきこもり経験者による、現役不登校向けの家庭教師サービス”を行なっているNPOさんです。

「精神療法に使われているオープンダイアローグを通じて、不登校の当事者たちに新しい気づきのきっかけを作れないだろうか?」

という趣旨があり、まずは体験会を開催してみたとのこと。

実際に参加してきましたので、まずは内容をレポートします。

医療行為ではなく、対話術の体験会です

オープンダイアローグの発祥は精神病院ですが、今回のイベントは、医療行為を体験する目的や、誰かを治療する目的ではありません。

実際の医療目的でのオープンダイアローグは、患者、患者の家族、医師、看護師、心理士、セラピストなどの専門家が行うものです。

このイベントは、「オープンダイアローグそのものを、まずは体験してみよう」という内容となっています。

タイムスケジュール


YURUMIさんの画像をお借りしました。

今回の参加者は、YURUMIのスタッフさんを含めた5名での体験会となりました。
なお、僕は見学として参加したため、オープンダイアローグそのものには参加していません。

アイスブレイクでボードゲーム

スタッフさんの説明によると、オープンダイアローグをするためには、自分のことを話しやすい状況作りが大切とのこと。

今回の体験会では、もちろん初対面の同士の人もいるので、お互いに少しでも打ち解けるためにスタッフさんが用意したのが「ドミニオン」というボードゲーム。

まずは、このゲームの遊び方の説明から始まるという、ゆるい空気でイベントは始まりました。
そしてゲーム開始!

1時間ほどでゲームが終了。
今回初めてドミニオンを遊んだ方が優勝し、なかなかの盛り上がったところで一旦休憩。

ここから、本格的にオープンダイアローグ体験が始まります。
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オープンダイアローグの進め方

YURUMIのスタッフさんが、オープンダイアローグの進め方を丁寧に説明してくれました。

役割を決める

今回、体験会の参加メンバーは5名。

まず、メンバーを3つの役割に分けます。

話す人(1名)

聞く人(1名)

観察する人(2名以上)

オープンダイアローグを行うには、最低でも4人必要、ということになります。
6〜7人くらいがちょうどよいそうです。
今回は観察する人が3名になりました。

話す内容のルール

オープンダイアローグでは、話す内容にルールがあります。

【ルール】他人の話したことを否定しない

例として……
「私、自分のことが大嫌いなんだよね」
という発言に対しては、

NG
「そんなことないよ」
「それは思い込みだよ」

GOOD
「どんなところが嫌いなの?」
「どんなときにそう思うの?」

他人の意見は尊重します。
例え自分が間違っていると感じても、他人の意見を否定したりはしません。

【ルール】問題解決を目的にしない

例として……
「学校に行きたくないけど、親が怒る」
という発言に対しては

NG
「親と話しあうべき」
「無理してでも言ってみたら?」

GOOD
「それはつらいよね」
「親は何と言ってくるの?」

みんなで解決方法を探る時間ではありません。
対話することそのものが目的なので、議論もしません。

ルールを守って、対話する

大きくは、この2つを守ってください、との指示がありました。

精神療法として行う場合はルールがもう少し多いようです。
今回は体験会であり、医療としてのオープンダイアローグではないので、この2つのルールに気をつけながら進めていきます。

中心は、話す人

精神療法の場合では、患者が話す人を務めます。
オープンダイアローグでは、話す人が語った内容が、話題の中心になっていきます。
より多くの気づきが得られるのは、話す人です。

オープンダイアローグの実践

対話のターン・1回め(10分)

対話のターンでは、
話していいのは

話す人

聞く人

だけです。

話す人が悩み事など話したいことを話します。
聞く人が内容を掘り下げたり、膨らませたりしていきます。

観察する人は、一切話してはいけません。
まるで透明人間になったかのように、話す人と聞く人の対話にただ耳を傾けます。

今回の体験会では、参加者のプライベートが含まれた話題だったので、会話の詳細は書けません。

冒頭は、聞く人が
「最近悩んでいること、ありますか?」
と話す人に問いかけて始まりました。

話す人の語る言葉内容に、聞き手が質問したり、感想を述べたりして、少しずつ話が広がっていきます。

この間、観察する人は一言も発せず、じっと二人の会話を聞くだけです。

10分経ったところでアラームが鳴り、
次のターンへ。

観察する人のターン・1回め(5分)

このターンでは、話していいのは
観察する人たち
だけです。

話題は、さっき聞いたばかりの
「話す人と聞く人の対話」
について。

観察する人たちが思い思いに、聞いた感想を語ります。
ここでも、「さっきの話って、こうすればいいのに」という表現はしないように気をつけます。

このターンでは、話す人と聞く人が、透明人間となって、観察する人たちの話を黙って聞きます。

5分経ったら、次のターンへ。

対話のターン・2回め(5分)

1回めと同じく、
話していいのは
話す人
聞く人
だけです。

話題は、さっき聞いたばかりの
「観察する人たちが話していたこと」
を素材として話します。
自分たちの話を聞いた感想の、そのまた感想を踏まえて語るわけです。

観察する人のターン・2回め(5分)

話していいのは
観察する人たち
だけ。

話す人
聞く人
はひたすら聞きます。

対話のターン・3回め(5分)

こちらも同様に繰り返します。

今回の体験会では、このターンが終わって、
「1セット終了」
としていました。

ターンの合間の時間を含めると、1セットがおよそ35分です。

オープンダイアローグ 2セットめ

少し休憩を挟んだあと、2セットめに入ることに。

今度は、
話す人
聞く人
を別のメンバーに変え、
さきほどと同じやり方で進行します。

主題となる、話す人の語るテーマが変わるので、1セットめとはまた違った雰囲気で進んでいきました。

問題解決を求めない

時間が限られているので、会話がまとまっていなくても、次のターンに移行します。
また、「こうすればいいんじゃないか?」ということは議論しないので、1セットが終わっても、とくに解決策は生まれないままです。

すっきりしたタイミングで終われない、なんとなくもやもやした気持ちが残るのが特徴的ですが、YURUMIのスタッフさんによれば
「それくらいでちょうどいい」

あくまでも、他人の意見に触れることを目的としているので、問題は解決されなくても良いとのことです。

参加者の感想

2セット終えて、参加メンバーがそれぞれ感想を述べました。

勉強になりました。結論は出ないけど、結論を出さない良さがあるな、と。そもそも、簡単に結論が出ないことも多い。それでも、こうやってたくさんの人の中で話すことそのものに意味があると思います。
オープンダイアローグの良さって、たくさんの人の言葉を使うことで、いろいろな角度から自分が見えてくること。的外れなコメントだとしても、それは素材として自分を見つめ直す材料になる。今日はいろいろな人の意見があっておもしろかったです。
いろいろな人の声が聞けるのは良さだと思う。AかBか、みたいな話題でも、それを超えた意見が聞けるのは良かったと思う。
結論を出さない、ってことと、自分のメッセージをどう伝えたらいいのか、ってところがなかなか整理がつかなくて、ちょっともやもやしてます。アイメッセージを意識すると言葉に詰まるときがあった。聞く人を務めるのは難しい。

個人的に良かったところ

まず、これは良いと思ったところをまとめます。

ポジションが明確で集中できる

時間が区切られ、ターンごとに話せなくなることは、思っていたよりもメリットは大きいと感じました。

フリートークでは、基本的にすべての会話に対してアンテナを立て続け、自分の話を切り出すタイミングを探り続けるという労力がかかります。

オープンダイアローグではそこが整理されていて、
今は、話を聞く時間
今は、自分が話す時間
と、自分のポジションが明確なのは、結果的にとても話しやすいのかなと思います。

話すこと、聞くことに集中できることで、結果的にとても効率よく対話が進行していると感じました。

トーク強者のマウントを予防できる

フリートークでは、どうしても話術に長けた人が主導権を握りがちになります。
ターンを時間で区切ることによって、そういった人も強制的に聞き役になります。

切り捨てるコメントが発生しない

解決策を求めないという前提があるため、
「そんなの◯◯すればいいだけじゃない?」
「それは無駄でしょう」
といった、一言で切り捨てるようなコメントが生まれづらく、対話が続きやすい仕組みになっています。

気になったところ

実際のオープンダイアローグを見たのはこれが初めてでした。
今回の見学で気になった点をいくつか挙げてみます。

聞く人が大変なのでは?

対話のターンで、話す人がどんな内容を話すかは、聞く人によってかなり左右されるのではないか、と感じました。
話す人があまり語ることが上手ではない場合、聞く人がうまく導く必要があります。

今回の体験会を見る限り、対話の質については、聞く人の傾聴力やインタビュー力に左右されそうな気がします。

今回の体験会では2セットとも慣れた人が聞く人を務めましたが、聞く人の力量が足りなかった場合はどのような展開になるのか、気になりました。

会話が苦手な人が多いとどうなる?

今回は、意見の交換も活発で、なかなか充実感のある対話ができたと思います。

しかし、その対話の質の高さは、オープンダイアローグの仕組みのおかげではなく、参加メンバーの対話力のおかげだったのでは……という疑問が湧きます。

今回のメンバーは全員、会話がそれほど苦手ということはなかったので、とても円滑な進行となりました。

もし、話すのが苦手な人が多かったらどうなるのか。

例えば、話すのが苦手な人が多いときはターンの時間を増やすなどの工夫をすれば効果があるのかなど、その場合の対応を含めて興味が湧きました。

とにかくもう一度見てみたい!

今回の僕の感想として、一番大きいのは
「違うメンバーでもう一度見てみたい!」
という気持ちです。

ほぼ同じメンバーで1時間のオープンダイアローグを見ただけなので、もっといろいろなケースを見学したいと思いました。

不登校に限らず、生きづらさを抱えている人たちが、少し楽になるかもしれないオープンダイアローグ。人と場所さえあれば実施できる手軽さは良さですし、あまりコストもかかりません。

今後、日本の社会にどこまで浸透していくのか気になるところですが、まずは気になった人がどんどん参加してみると良いと思います。

YURUMIさんでは、今後もオープンダイアローグの体験会を開催する予定とのことですので、興味があった人はどんどん参加してみると良いと思います!

開催の告知は、
YURUMIさんのTwitter、
またはFacebookをチェックしてくださいね。

今後もオープンダイアローグの体験会があれば、また見学に行きたいと思います!

YURUMIのTwitterアカウントはこちら

ゆるみ 元不登校/臨床心理士/家庭教師

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不登校専門家庭教師のyurumi

関連リンク

【特集】変わり始めた精神医療 (3)“オープンダイアローグ”の可能性
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/233/

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Posted by suisui