映画「チャイナタウン」から学ぶキャラの立て方
脚本術の書籍で有名なシド・フィールドが、名作として評価する「チャイナタウン」。
ジャック・ニコルソンが演じる主人公、私立探偵のギテスについて、冒頭のキャラの立て方を解説します。
性格
情け深い男
ファーストシーンは、ギテスの探偵事務所。
顧客であるカーリィに、彼の妻の浮気調査の結果を伝えているところから始まります。
妻の浮気現場の写真を見て取り乱すカーリィ。
一方のギテスはソファにゆったりと座ったまま、ブラインドにすがりつくカーリィを慰めます。
さらに酒を差し出し、彼の妻への悪態を聞いてやるのです。
穏やかではいられない顧客と、落ち着いて振る舞う主人公との対比をさっそく見せています。
仕事の売上が悪くて調査費の支払いができないと言うカーリィに「君を破産させてもしかたがない」と、支払いは後日で良いとします。
別れ際には、帰りの運転に気をつけるように、とまで声をかけます。
顧客に対して優しく、情に深い男であることがわかります。
紳士的な対応
続いて、依頼にやってきた夫人に対応するシーン。
夫人の、二人きりで話したいという要望を上手く断ります。
部屋にいるのは自分の大切な仕事仲間であることを伝え、機嫌を損ねないように会話の主導権を握るのです。
浮気を疑う夫人の理由が「女の勘」だと聞くと、探偵に依頼せずに夫と話し合うことを勧めます。
稼ぎが目当てであれば、細かいことを聞かず引き受ければいいはずです。
探偵業へのプライドの高さ
冒頭の事務所のシーンでは、ギテスは探偵の仕事に高い誇りを持っていることが示されています。
単なる金儲けだけ、食い扶持を稼ぐために仕事をしているわけではなさそうです。
実際に、先のシーンでは自分の仕事を揶揄した男に対して強い怒りを見せるのです。
容姿
おしゃれなスーツ
冒頭のギテスの服装は、アイボリー色のスーツに派手なネクタイ。薄毛ですが髪はオールバックで固めており、センスの良いファッションです。
砂漠や海沿いへの尾行調査も、ビシッと決めたスーツ姿で向かいます。
本作は同じくスーツ姿の男性が多く登場しますが、明るめの色のスーツを着ているのはギテスだけです。
暗いシーンも多いなか、画面の中で目立つ効果もあります。
タバコ
ギテスはタバコをよく吸いますが、吸う前にタバコを3回叩く仕草が何度も出てきます。
これは物語上とくに意味はありませんが、ギテスの個性として観客の心に残ります。
キャラの立て方
まとめ
・取り乱すキャラを出し、主人公が落ち着いて対応することで、主人公の性格を説明する
・金目当てで仕事をしているわけではない、という主人公のプライドを見せる
・作中で際立つ服装にする
・特徴的な仕草を持たせる
シナリオ作成の参考にしてみてくださいね。