【R-1ぐらんぷり2019】大反省会より、ファイナリストの「敗者の弁」をまとめました。
3月10日に放送された、
「R-1グランプリ2019」。
今回は、昨年末のM-1チャンピオンでもある霜降り明星粗品が優勝!
インパクトのある結末で幕を閉じました。
勝者の陰には敗者のドラマがある。
……ということで、R-1ぐらんぷり直後にGYAOで配信された、
「R-1ぐらんぷり延長線ファイナリスト大反省会」。
大会直後で疲れきったファイナリストたちを相手に、ケンドーコバヤシが本音を引き出していました。
彼らは何を語ったのでしょうか……。
惜しくも敗れた芸人たちの、印象的な言葉を集めてみました。
ファイナリストのラインナップ
大反省会に集められた芸人たちと、その結果をまとめておきます。
Aブロック
チョコレートプラネット松尾 | 1票 | |
クロスバー直撃 前野悠介 | 0票 | |
こがけん | 7票 | |
セルライトスパ 大須賀 | 10票 | ファイナル進出 |
Bブロック
おいでやす小田 | 6票(審査員3名) | |
霜降り明星粗品 | 6票(審査員4名) | ファイナル進出 |
ルシファー吉岡 | 2票 | |
マツモトクラブ | 4票 |
Cブロック
だーりんず 松本りんす | 8票 | ファイナル進出 |
河邑ミク | 3票 | |
三浦マイルド | 6票 | |
岡野陽一 | 1票 |
ファイナルステージ
セルライトスパ 大須賀 | 7票(審査員3名) | |
霜降り明星粗品 | 7票(審査員4名) | 優勝 |
だーりんず 松本りんす | 4票 |
敗因を水に流せ! 敗者のベン
芸人たちが自分の敗因を、う◯こ型のフリップに書き、きれいさっぱり水に流そう、というコーナー。
負けてヘコんでいるところに、自分の敗因を書いて語れ、という厳しい企画です……。
司会はケンドーコバヤシ。
アシスタントには、カンテレの谷元アナ。
コメンテーターとして歴代R-1王者が呼ばれ、
浜田祐太郎
じゅんいちダビッドソン
ハリウッドザコシショウ
も参加しています。
この企画から、印象的なコメントを拾ってみました。
岡野陽一の敗因
「鳥肉をいぶしたりするべきだった」
岡野「鳥肉のネタをやったんですけど、鳥肉をいぶしたりするべきだった、と」
ケンコバ「わかる。ちょっと思う、俺も」
岡野「そうですよね! 僕、どう映ってるかわかんないですけど、やっぱり生肉っていうのが」
ケンコバ「しかも鳥ね!」
岡野「見た目とかも、ちょっと燻すだけで」
ケンコバ「だいぶ変わったかもね」
じゅんいち「でも準決勝までのお客さん、生の方が笑いそうやけどね。お客さんもちょっとコアじゃないですか」
岡野「そうですそうです」
ケンコバ「R-1の準決勝までのお客さんはコア」
じゅんいち「お笑いとか見に来まくってる人が来るんで、だから準決勝まで生にしといて、決勝のときは揚げて出すとか燻して出すとかしたら……」
岡野「そこですよね、僕、3回戦までサランラップ巻いてたんですよ」
じゅんいち「なんで外したん?」
岡野「いや、こっからは剥き身のほうがウケると思ったんです」
一同(笑)
岡野「だから決勝は燻したほうがよかったのかな、って」
ケンコバ「もしかしたらほんまにちょっとあるかもしれんな」
おいでやす小田「でも、敗者復活で勝ち上がってるんですよ? あの時間に燻す時間無いですよ(笑)」
一同(笑)
岡野「確かに……そこまで準備しとかないといけなかったですね」
ルシファー吉岡の敗因
「リハと本番の合間に大江戸温泉」
吉岡「4回目の決勝なので、生意気ながら余裕があったということと……ちょっと噂を聞いて。じゅんいちさんとか、まさみさん(やまもとまさみ/R-1 2014王者)とか、歴代のチャンピオンが、この合間に大江戸温泉に行って、その年に優勝したっていう」
じゅんいち「そうなんですよ」
ケンコバ「ちょっとジンクスみたいなのが生まれそうやったんや」
じゅんいち「だからそれは別に敗因じゃないかもしれない」
吉岡「いや、大江戸温泉が気持ちよすぎて、リフレッシュしすぎた結果、本番前に異常な眠気を覚えるっていう……」
ケンコバ「そうだよ、眠たなるよ絶対」
クロスバー直撃 前野悠介の敗因
「神主にオリーブオイルをぶっかけた」
というのはウソで
「温存した」
ケンコバ「ああ〜! もう一個上を見すえて」
前野「そうなんですよ」
ケンコバ「全員ね、多かれ少なかれそれは……」
前野「あと何よりね、この衣装。ずーっと着てるんですけど、一個も出してないボケありまして。暑いな〜って言って脱いだら……」
※前野が白衣を脱ぐと、袖をひきちぎったワイシャツ姿。さらに振り返ると、背中の生地も無い。
前野「すっごい服着てたっていう。このボケずーっと出さず2時間くらい白衣着とったんですよ」
ケンコバ「今あんまりウケてへんやん」
一同(笑)
前野「出さんでよかったです! 温存してよかったですね(苦笑)」
ケンコバ「俺も見たくなかったくらい、隣の河邑さんイヤな顔してたで」
浜田「逆に僕はその顔を見たいです」
一同(笑)
河邑ミクの敗因
「とうだいもとくらし」
河邑「私の前までずっと、おじさん・おじさん・おじさんって続いてたじゃないですか。で、私が出てきたら、『あ、かわいい。この子どんなネタすんのやろ』っていう作戦やったんですよ」
ケンコバ「そこまで自分で言う?」
河邑「はい! でも、私の応援コメントが広瀬アリスさんやったんですよ」
ケンコバ「ああ〜」
河邑「それで皆さんかわいいに目が慣れてしまって。それで私出てきたら『ん?』ってなるやないですか」
ケンコバ「そりゃ広瀬アリスさんと比べたら」
河邑「ちょっとやっちまいましたんで、次あるなら、ブスめの女性に応援コメントをお願いしたいですね」
マツモトクラブの敗因
「審査員の方々の中で、唯一一緒に飲んだことがある渡辺リーダーが、僕に一票も入れてくれなかった。一緒に飲んだことあるのに」
一同(苦笑)
ケンコバ「やっぱり……おまえ怒らしたらアカンやつみたいやな」
一同(笑)
ケンコバ「でもそれはほら! そんなことで票を左右する人が審査されてたら……」
マツモト「もちろんそうなんですけど、審査員の方々の中では唯一面識があって、『じゃあ、入れてくれるんだろうな』っていう気持ちでいたら一票も入れてくれなかった……」
ケンコバ「それはしかたない。友近あたりと飲みに行ってください」
マツモト「そしたら入れていただけるんですか」
ケンコバ「いや……それはまあ夜の働き次第じゃない?」
一同(笑)
チョコレートプラネット松尾の敗因
「IKKOさんに頼りすぎた」
ケンコバ「やっと気づいてくれた?(笑)」
松尾「はい。今はこれでずっとやってるんで、これで行けるところまで行ってみようって思ったら、決勝まで来られて。今、ネタをちょっと直さなきゃって考えてたんですけど、もう……無理だなって。これが限界なんじゃないかなって思っちゃって」
ケンコバ「IKKOさんで行くには」
松尾「ネタを考えてるんですけど、どう考えても、本人に勝てないんですよ。IKKOさんがおもしろすぎて」
ケンコバ「まあねえ……IKKOさんおもしろいもんね」
松尾「(このネタを)IKKOさんがやったらもっとおもしろいと思いますもん」
ケンコバ「だからこそ俺は、素顔の" 松尾アンダーグラウンド (※松尾の昔の芸名)"が見たい」
松尾「いやもう松尾アンダーグラウンドじゃないですよもう、やめてください(苦笑)」
三浦マイルドの敗因
「出番順」
三浦「一番後ろだったじゃないですか。まあそのあと敗者復活の岡野くんありましたけど。それまでずーっと皆が結構ウケてて」
ケンコバ「ウケてたね皆!」
三浦「観客の声聞いてて、なんか気が狂いそうになってきまして。あったかすぎるだろ、と。人がウケてるの聞くのほんまに嫌なんですよだから、皆がスベってて、自分が回ってきたときに、力を発揮するという……」
ケンコバ「おまえ人間として最低のこと言うてるぞ」
一同(笑)
三浦「ウケすぎやろ!って思って」
ケンコバ「確かに今回皆ウケてたもんね。まあ出番順ってのは賞レースはつきものですから」
三浦「最初の方に出てパパパっとやったほうがよかったですね。皆がウケてるの聞いて、心かき乱されました」
おいでやす小田の敗因
「大声に頼りすぎ」
小田「松尾くんとちょっと被ってるんですけど」
ケンコバ「うーん……」
小田「Aブロック終わったときに、大須賀へのコメントで文枝師匠が『芸人は大声でつかみがちやけど……』って言われたときに、ドキドキして(笑)」
一同(爆笑)
※おいでやす小田のネタは『富裕層が子どもみたいに大声で愚痴る』というネタでした。
小田「ええーー! 俺、モロそうなんやけど!って(笑) ウケられへんかったらどうしよう?ってかなり動揺しましたね。(大須賀のような)ニュータイプが出てきた、みたいな」
大須賀「小田さん、小田さん……」
小田「?」
大須賀「ホントに……古いッス」
小田「なんでや! 俺にはこれしかないんや! 今さら路線変更できへんねん!」
一同(笑)
こがけんの敗因
こがけんはフリップを出す前に、ロック調に挨拶するという小ネタを挟みました。
ケンコバ「(小ネタをスルーして)マジで、こがけんおもしろかったよ」
一同(笑)
こがけん「ちょっと待ってくださいよ。今のもマイクのせいとかじゃないんですよ。負けたストレスですよ!」
一同(笑)
改めてフリップをめくると……
「歌詞」
こがけん「自分の中でリズムというか、適当な英語で歌っているようで、いつもドラゴンボールのとこなら『ドンチュゥー! ドンチューケーッ!』って歌ってるんですけど、今日は『ドンケー! ドンチュウケーッ!』だったんですよ。そこだと思います」
ケンコバ「気にするかい!」
一同(笑)
だーりんず 松本りんすの敗因
「所持金3,000円」
ケンコバ「これが敗因?」
松本「カツラに頼りすぎたってこともあるんですけど。今日、僕、所持金3,000円のくせして、後輩二人手伝いで連れてきてるんですよ。で、ジュース買ってきましょうかっていうときに、さすがに出させるわけにいかんので。今、所持金1,000円くらいしかない」
ケンコバ「いやでもこれで仕事のオファーがバンバン入って。ホンマ人生、何があるかわからんな思ったよ。りんす見てて」
松本「ホンマですか」
ケンコバ「だって1年前はね、りんすって、ファンに手を出そうとしてたんですよ」
谷元アナ「最っ低……!」
松本「やめてくださいよ! どの現場でも言うじゃないですか!」
一同(笑)
ケンコバ「飲みに行ってるときに相談された。『今めっちゃかわいいファンの子いるんですよ』って」
松本「一言一句、違わないわ」
一同(笑)
ケンコバ「でもまあよかったな、これで仕事増えるよ」
セルライトスパ大須賀の敗因
「トラがニセモノだったから」
一同(笑)
大須賀「本物だったら、バカほどウケてると思うんで。これしか考えられないです。あの僅差で勝つには」
※ファイナルステージで大須賀は粗品と同点となり、審査員の獲得数で優勝を逃しました。
ケンコバ「なるほど。バカほどウケてた?」
大須賀「バカほど、本物だったらウケてたと思います」
ケンコバ「IKKOさんも本物だったらバカほどウケてたかな?」
松尾「(IKKOのモノマネで)でもそれやっちゃってたらほんとにほんとに大変だったと思う」
少し沈黙の後……
一同(爆笑)
小田「もう疲れてるわ!」
ケンコバ「キャッチーじゃない方のIKKOさんやめてくれる? 普通のほうのIKKOさんで」
複雑な思いが重なる敗者の言葉
ここからは筆者の感想です。
とにかく、皆さん疲れていました
自分がコメントをするときには、グッとテンションを上げてはいましたが、ひな壇に座っている姿は皆さんとても疲れていました。
落ち込んでいたり、魂が抜けているかのようにぼんやりしていたり。
それでも、こうやって番組に出て笑いを取らなければいけない芸人さんは大変だな……と改めて思いました。
確かに今回は皆ウケていたけれど……
三浦マイルドが言っていた「観客あったかすぎ」というのは確かに感じました。
ダウンタウンの松本人志も、自身のTwitterで触れています。
R-1の客。。。
— 松本人志 (@matsu_bouzu) March 10, 2019
この点はテレビのコンテンツなので、スタッフとしてはひたすら盛り上げたいでしょうから、仕方のないことなのかな、とも思います……。
印象的だったセルライトスパ大須賀の敗因
今回のファイナルは、霜降り明星とセルライトスパ大須賀が同じ票数となりました。
同点の場合は、入れてくれた審査員の数の差で決まるルール。
審査員3名から票を集めた大須賀を、審査員4名から票を集めた霜降り明星粗品が振り切っての優勝。
劇的な結末です。
紙一重よりも薄い差で、王者を逃した大須賀。
その言葉をもう一度振り返ってみます。
「(負けたのは)トラがニセモノだったから」
「これしか考えられないです。あの僅差で勝つには」
笑いが起きてはいましたが、かなり深いコメントにも思えます。
勝てなかった理由がわからない
全力は出せた。
会心の笑いだった。
でも勝てなかった。
せめてトラが本物だったら……と思ってしまうのも、当然のことなのかもしれません。
はっきりとした基準が見えないお笑いの賞レースだからこそ生まれる、独特のコメントだと思います。
今から来年が楽しみ
観客のあたたかさなどは今後意見もいろいろ出るかもしれませんが、総じて今年のR-1はレベルが高かったと感じました!
今回のファイナリストから、ブレイクする芸人さんも出そうな予感があります。
松本りんす、ファンに手を出すのは最低ですが、カツラ芸は最高でしたよ!
ファイナリストの芸人さんには、今回の敗戦から立ち上がり、もっともっとおもしろい笑いを届けてくれることを期待します!